金属、環境リサイクル、電材加工(薄膜材料・機能材料)の2事業部、合計4事業部での棚卸計算に使用しています。J-CCOREsの実際原価計算モジュール、計画原価計算モジュールをベースとして導入、2019年5月に刷新しました。
従来の棚卸計算システムは、10年以上前にスクラッチ開発したもので、各事業部で別々に構築したものを稼働させていたため、それぞれ仕様が異なっていました。開発ツールのメーカーサポートも終了しており、機能追加の要望があっても対応ができないといったメンテナンス性もよくない状況で、老朽化していました。合わせて4システム分の保守費用も課題となっていました。
さらに、ある事業部の経理担当者が別事業部の経理部門に転属になった場合、一から操作方法を学び直す必要があり、慣れるまでに時間がかかるという課題もありました。
そこで、環境リサイクル事業部からあげられた棚卸計算システム更新要望を機に、4事業部の棚卸計算システムを共通化することを検討しました。製品検討時にはスクラッチ開発含めて比較し、最終的にJ-CCOREsを採用することにしました。
J-CCOREsは、以下の3つの条件を満たしていたからです。
JX金属は、棚卸資産の評価方法に先入先出法(以下、FIFO)を採用しており、FIFO対応は必須でした。製品比較を実施した際、FIFOに標準機能で対応している原価計算パッケージはJ-CCOREsのみでした。選択肢として、FIFOに対応していない製品を導入し、その部分についてはスクラッチ開発で対応することも検討しましたが、費用的に全く見合いませんでした。
4事業部の独自性の強い固有機能は、各事業の特有の原価計算を成立させるために必要な機能であり、従来通り生かすことも条件でした。その点、J-CCOREsは事業部が個別で必要とする機能に関しても柔軟なアドオン対応で忠実に再現することが可能でした。
既にJ-CCOREsを導入していたグループ会社から、選定の理由や使い勝手などについてヒアリングを行い、グループ会社内でのJ-CCOREsについての評価が高かったことも選定の後押しになりました。
システムを共通化し刷新したことで、大きく以下の5つの効果が出ています。
従来のシステムでは、帳票ごとにデータを担当者が手で打ち込んでいました。刷新後は、エクセルから一括インポートができるようになり、月次の入力作業時間が短縮しました。金属事業部と環境リサイクル事業部では各1時間、電材加工の2事業部では合計3~4時間の短縮を実現できています。たとえ10分でも惜しい繁忙期の時短ですので、その効果は数値以上です。システムの計算処理自体も短縮することができています。
既存では一部事業のみで可能であった予測計算機能が全事業部で実現できました。従来のように手作業で計算する必要もなくなり、その作業負荷も減りました。
さらに、データの一括インポートができるようになったことにより、入力ミスなどのヒューマンエラーがなくなり、業務品質も向上しています。
従来は、帳票のPDFを見ながら、手入力したデータの整合性を目視でチェックしていました。現在は、データをエクセルにダウンロードすれば、自動でチェックできる仕組みがあるので、チェックに時間を割く必要がなくなり、正確性もアップしました。
新システムではデータを簡単にエクセルに抽出できるようになったので、経理としての分析業務や別の計算へ転用するなど、データ活用が容易になりました。
システムが共通化されたことで、別事業部の経理部門に異動になっても、戸惑うことなくスムーズに操作することができます。
棚卸計算システム概要図
フィットアンドギャップの時点から、各事業部の経理担当者に参加してもらいました。現場の要望をくみ上げ、各事業部が必要とする機能や帳票はできるだけ共通化して盛り込み、コンパクトなシステムに仕上げるようにしました。
アドオン対応した固有機能については、従来通りの計算結果が得られるかどうかを確認するため、運用テストで3か月間、旧システムと並行稼動させることで、売上原価や簿価のずれが無いか突合しました。
JFEシステムズの担当者は原価計算に関して説明せずとも話が通じ、かなり精通していました。おかげで、打ち合わせ時は、特殊な機能について集中した議論ができ、効率よく円滑に進めることができました。システム部門から見ても、経理部門とのやり取りを安心して見ていられました。社内の経理担当者でも理解しづらい計算の仕組みもあるのですが、ブラックボックス化していた機能も上手く整理し、見事に刷新してくれて感謝しています。
運用テストの際も、エラー解析だけでなく計算結果についても細かい部分までチェックしてくれました。こちらからの問い合わせに対するレスポンスも非常に速かったです。
システム刷新により、入力時間の短縮などのシステム運用の時短を実現できましたが、業務運用を含め、まだ改善の余地はあると考えています。使い勝手も良くして、さらなる効率化を進めていきたいと考えています。
事業部によって、共通マスタ名と実際に使われている呼称が違う項目があります。J-CCOREsのマスタ名を事業部毎に変更できるようにしてもらえると、使い勝手はさらに向上しますので、今後のバージョンアップ時に、検討していただければと思います。
また、現在はJ-CCOREsを理解した担当者で運用していますが、将来的には別の担当者へ引き継いでいくため、マニュアルの整備が重要になると考えています。社内でマニュアル作成をすると用語のずれ等が生じることがあるので、マニュアル整備も個社対応してもらえると助かります。
JX金属では、今回のシステム刷新は始まりだと考えており、より良いシステムにするために改善を続けていくつもりです。JFEシステムズには引き続き、手厚いサポートで私たちを支えてもらえると助かります。今後ともよろしくお願いいたします。
- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。
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