J-CCOREsのベースモジュール、実際原価計算モジュールを活用して、原価管理システムを刷新しました。原価管理システムは、決算システムと見通し・予算システムからなり、2013年4月に決算システムを、続いて2014年1月に見通し・予算システムをリリースしました。
従来使っていた原価管理システムは、決算のためだけに大くくりの品種で原価を算出するシステムで、決算以外の予算・見通し計算はできなかったため、様々な支障を来していました。
まず、従来システムは、非累加法での原価計算ができず、発生原価に加工過程で生じた様々な費用を合算して入れていました。また、品種別の原価計算や細かい原価分析をすることができないため、事業内でどの品種が利益を上げているのか、どのコストがかかっているのかを説明できない状況でした。
次に、原価計算するために必要なデータをエクセル等で計算し、手作業で原価管理システムに転記する必要がありました。そのため、担当者はそれぞれ月8~9時間は入力作業を行っていました。担当者は合計4名おりますので、月に計32~36時間、転記作業に費やしていたことになります。 そのうえ、データがシステムで連携されていないので、見通し・予算と決算に一貫性がなく、どうしても齟齬が出てしまっていました。その齟齬は、担当者が経験に基づいて推測し、修正していました。
このような課題を抱えた状態の原価管理システムを10年以上使ってきましたが、保守期限が切れるのを機に刷新することにし、5つの会社の原価管理システムを比較検討しました。
システム概要図
以下の4つの条件で選定しました。
東邦チタニウムは、棚卸資産の評価計算に先入先出法( 以下、FIFO)を採用しており、FIFO対応は必須でした。
計算に用いる配賦係数が多数あるため、相互配賦、製品別配賦等、配賦計算のパターンが豊富にあることも条件にしました。
非累加法、累加法で同時に原価計算ができ、科目明細が多い製品にしたいと考えていました。
作業の効率化のため、生産管理システムとインターフェースの連携ができること、また、エクセルのデータを容易に取り込めることなど、データ取り込み手段が多いことも希望しました。
以上の条件で比較検討した結果、J-CCOREsを採用することにしました。
製品選定時に、FIFOに標準機能で対応しているのはJ-CCOREsのみでした。アドオンで追加できる製品もありましたが追加コストが高く、J-CCOREsのコストを大きく上回りました。また、J-CCOREsはエクセルからコピーアンドペーストでデータを取り込むことができ、エクセルを使うことが多い東邦チタニウムでは工数削減を図ることができると判断したことも大きな理由です。
非累加法の原価計算など、従来やりたくてもできなかったことが可能になったことに加え、大きく以下の3つの効果が出ています。
チタン事業ではインターフェース連携で生産管理システムからデータの取り込みができ、機能化学品事業(連携システムがない)ではエクセルのコピーアンドペーストでデータ取り込みができるようになりました。そのため、手入力が大幅に減り、作業時間が従来の1/4以下になりました。また、システム刷新後、品種を細分化して原価計算ができるようになりましたが、従来から比較して作業量は増えておらず、これも作業効率のアップを物語っています。
細分化した原価管理ができるようになったので、コストを削減すべき部分、品種間や工場間の原価率の違い、利益率の高い品種などが把握できるようになりました。経営層に精緻な分析結果を提出できるようになり、経営判断にも役立っています。
一気通貫にデータが流れるようになったことで、見通し・予算と決算に一貫性を持たせることができるようになり、精度が上がりました。また、システム間のデータ齟齬の修正にとられていた作業時間も削減できました。
原価管理システム刷新にあたって、棚卸する品種を細分化したため、従来のようにJ-CCOREsに手入力をしていてはその分、工数が増えてしまいます。そこで、入力工数を減らすために、エクセルベースでテンプレートを作り、J-CCOREsに一括入力できるようにしました。
JFEシステムズは、東邦チタニウムの原価計算に関するプロセスや作業内容を踏まえ、具体的な改善提案をしてくれました。入力工数削減のためのテンプレートもそうですし、アドオンを追加することなく、オペレーションを少し変更して対応する方法や、東邦チタニウムの特殊な原価計算に関してもJ-CCOREsでの対処法を提案してくれました。JFEシステムズのサポートがあったので、コストをかけることなく、やりたかったことがJ-CCOREsで実現できたと考えています。
現在、ERPを更改しており、J-CCOREsと連携する予定です。最終的に、生産管理情報やコスト情報を自動で取り込み、入力工数をゼロにしたいと考えています。また、J-CCOREsをグループ会社にも導入し、グループ全体の原価管理精度も上げたいと思っています。
先ほど申し上げた、今後のJ-CCOREsとERPとの連携やグループ会社への展開にあたって、J F Eシステムズにはより手厚いサポートをお願いしたいと考えています。また、将来的に会社組織の再編もあると思います。そういった場合でもご助言や運用等の見直しのお手伝いをお願いしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。
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