原価管理コラム

原価管理の課題解決には、「センス」が必要

原価管理コラム

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長
西岡 修次郎

昨今の厳しい経済状況を反映し、企業の原価管理に、より厳密さが求められるようになった。例えば、取引先への値上げ交渉や協力会社に対する値下げ要求においても、その根拠として自社の製品原価をきちんと把握、管理せねばならない。

「さらに、お客様の規模によっても状況は異なります」。製造業向け原価管理ソリューションパッケージ「J-CCOREs(ジェイ・シー・コアーズ)」導入に携わる西岡修次郎は、そう話す。

最近の原価管理に関する課題認識

例えば、大規模企業のお客様からは、フルスクラッチで作成したシステムをパッケージベースでERPシステムとして再構築したい、というご要望が多くなっています。この場合、従来の自社向けの特注システム機能を汎用パッケージ製品で実現することが最大の課題です。

一方、中小規模企業のお客様であれば、未整備だった原価計算の仕組みを整備したい、というご要望が多くなっています。中小規模企業では、既存のシステムはExcelやAccessなどをベースとした簡易なものや、業態の合わない親会社の古いシステムを使用しているといったケースがまだまだ多いという背景があります。原価計算の仕組みを整備し、製品や設備の改廃など、昨今のビジネス環境の変化に対応することが課題となっています。

さらに、企業規模に関係なく、経営層からの「もっと緻密に原価を把握したい」「もっと早く結果が見たい」といった要請や、年々厳しくなる監査法人からの指摘や内部統制に応えるためのシステム構築といった共通の課題もあります。

プロセス製造業がERPシステムを導入する際の課題

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長 西岡 修次郎

大規模企業様から要望の多いERPシステムは、マスタやデータを一元管理し、リアルタイムに会計処理を行い収益状況を確認できるという利点があります。メジャーERPをグローバルスタンダードと考え「できるだけカスタマイズせずに導入することで業務効率化を目指す」といったことを大きなミッションとしているケースも多く見られます。

このように昨今導入契機が加速している感のあるERPシステムですが、プロセス製造業が導入するに際しては、こと原価計算部分について課題が多いと感じます。というのも、多くのERPはBOM(部品表)をベースとした組み立て製造業をベースに考えられているためです。

プロセス製造業にとって、特に生産管理、原価管理部分の導入は難しく、実際に生産管理部分はスクラッチで構築し、導入しやすい部分にERPを適用する事例が多くなっています。

原価管理部分について考えた場合、生産管理部分をスクラッチで構築しても、ERPのMRPモジュール、在庫管理モジュールを導入することで、原価計算モジュールを使用することはできます。その場合、ポイントとなるのはBOM(部品表)の設定です。

プロセス製造業では、装置や工程に素材を投入し、製品が製造されていきますが、BOM(部品表) は品名のみをキーとしたツリー構造で表現し、装置や工程での加工は、工程順序として表現していきます。この構造がプロセス製造業では必須の「部門別コスト管理」には適しません。また、半製品を原料に戻す循環や2級品の発生などを表現することも難しくなります。

このような部分を排除して計算した標準原価を使用した原価計算は、多くの原価差額が発生するとともに実際の製品原価が分からないものとなってしまいます。

マスタ設定の違い

とはいえ、製品の生産や動きに合わせてリアルタイムに動くERPの導入には十分なメリットがあります。しかし、プロセス製造業においては、原価改善を実施するために部門別の歩留や原単位の管理は非常に重要であり、原価計算領域に関しては、プロセス製造業専用のパッケージ製品を推奨します。

下図のように、標準原価を専用パッケージで計算し、それをERPに戻してリアルタイム計算に使用する。月次では月間実績データを専用パッケージに連携し、精緻な実際原価計算(ころがし計算)を行って実際原価を把握し、差異分析をする。このような構成を取った場合、原価計算部分は疎結合になるため、ERPに影響なくシミュレーション計算が実施しやすくなるというメリットがあります。また、子会社、グループ企業などシステム構成の違う事業にも本体と同じ管理方式を展開できると言った利点もあります。

マスタ設定の違い

プロセス系製造のDNAを持つパッケージで原価管理の課題を解決

組立系製造の生産管理システムを発展させた原価管理パッケージが多い中、「J-CCOREs」は、プロセス系の原価計算・原価管理の仕組みをもつ数少ない製品です。プロセス産業の原価管理は、原価部門ごとに評価・分析を行う必要があり、そのため計算キーとして「品目」だけでなく「部門」を持つなどデータ・マスター構造も組立系とは異なります。

私たちJFEシステムズは、長年、大規模プロセス産業であるJFEスチールの原価計算を担当してきました。「J-CCOREs」は、そのDNAを受け継いでいます。

プロセス系で求められるあらゆる原価計算に対応可能であり、予算の立案や、様々な切り口での予実管理を整合性を保って実現する仕組みを提供しています。企業規模に関わらず、プロセス系製造業のお客様に多く導入されているのは、言うまでもありません。また、各種ERPパッケージとの連携も豊富な実績があります。

PDCAの定着が目標

「J-CCOREs」の導入においては、販売計画や経費予算に基づき、利益計画の立案、標準原価の算出、月次原価計算の実行、実績の把握、原価差異の分析を行い、その結果を受けて改善を図る、といったお客様のビジネスのPDCAサイクルに適応させること、または、PDCAサイクルの導入や定着を基本的な目標としています。

利益計画は、来年度の製品販売量、製品生産量、必要な原材料の消費量、原材料購入単価、工場各部門の経費予算など、計算に必要な諸元を準備し、それらを元に製造原価を計算し、製品別収益を算出する流れになります。ポイントとして、カテゴリー別の販売計画を製品別に分解する方法、工程・製品別の歩留まりや加工時間の設定、製造ルートが社内・外注など複数ある場合のマスタ設定方法など、様々な課題が考えられます。

私たちはこのような課題に対し、多くの導入実績に基づく事例を提示しながら提案を行っています。計画を立てやすい粒度と、実績を把握しやすい粒度を上手く合わせ、差異分析まで無理なく回せる仕組みを作っていきます。

利益計画の仕組みが定着していない企業様にとって、必要な情報を収集し設定することは非常に敷居の高いものです。そのような場合、まずは、実績原価の計算を構築することを提案しています。そして、実績で確保した原単位、歩留まり情報をベースとして標準/基準の設定につなげていく、というアプローチを取ります。

「J-CCOREs」には製品の最新の実績原価構成を展開表示する機能があり、このようなツールを活用することで標準原単位、標準歩留まりを設定するなど具体的な提案を行っています。

「粒度」を見極めるには経験に裏打ちされたセンスが必要

先ほど、「原価計算の計算粒度」と申し上げましたが、お客様は原価管理となると、「細かな部分まですべて計算・分析したい」と言われることが多くあります。つまり、求めるデータの粒度が細かすぎるということです。

原価計算はいかに「中分類化」するかが肝です。データの粒度が粗ければ「どんぶり勘定」になってしまいますが、細かすぎるとマスタ設定が困難になります。せっかく導入してもうまく活用されなくなることもあります。私たちは、それが一番あってはならないことだと考えています。そのため、技術的に無理なく、また、お客様のPDCAサイクルにも合ったスペックをゴールにしています。

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長 西岡 修次郎

具体的には業種、業態により検討が必要となるため、例えが難しいですが、製造、販売する単位ではなく、同一素材、同一歩留設定となるものは同じ単位で原価計算する。また、組み立て型の場合は、製品を束ねることが難しいので、部門・工程を集約する方向で提案を行うケースが多いです。

どのくらいの粒度が原価管理・分析に適切かについては、経験に裏打ちされた「センス」が必要となります。

そのため、組織として原価管理に携わってきた歴史が長いというのは、私たちのアドバンテージです。新人のころから原価管理に携わり、その道一筋のコンサルタントも部内には数多く在籍しています。原価管理や「J-CCOREs」の仕組みはもちろん、お客様の業務を理解し、どのくらいの粒度の原価計算が最適かを割り出す、「センス」ある要員が揃っています。

長年の実績に基づくプロセス系を中心としたお客様の業務ノウハウは、社内にナレッジとして蓄積され、メンバーのスキルレベルの平準化にも寄与しています。課題の共有や他のプロジェクトメンバーにアイデアや意見を求めることも、JFEシステムズではとても日常的な光景です。

「複雑なシステムは間違っている」という信念。

私自身、原価管理に携わるようになって20年以上のキャリアがあります。その間に「J-CCOREs」を通じてJFEスチール社長賞を受賞、原価計算に関する特許も2件取得しました。原価計算のロジックに関しては、いろいろな計算に耐えられる汎用的なものを入れるようにしており「J-CCOREs」のコアにもなっています。

複雑なシステムは間違っている。これは私の信念です。

例えば、複雑なシステムは、当初は機能を満たしても、前提の追加・変更があるとすぐに無理が来て成り立たなくなる。シンプルなシステムは、お客様の運用しやすさにもつながります。共通項を探し、モデル化し汎用化する。そうした姿勢から環境変化に強いパッケージが生まれるのではないでしょうか。

私はアイデアの出しがいがある原価管理の領域に大きな魅力を感じています。課題に対して様々なアプローチが取れますし、ストックの中からアイデアを組み合わせて解を導く、その結果、お客様から「このデータを見たかったんだ」「価格交渉に早速使います」などと言われると、本当にうれしい気持ちになります。

原価管理コラム

原価管理の課題解決には、「センス」が必要

原価管理コラム

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長
西岡 修次郎

昨今の厳しい経済状況を反映し、企業の原価管理に、より厳密さが求められるようになった。例えば、取引先への値上げ交渉や協力会社に対する値下げ要求においても、その根拠として自社の製品原価をきちんと把握、管理せねばならない。

「さらに、お客様の規模によっても状況は異なります」。製造業向け原価管理ソリューションパッケージ「J-CCOREs(ジェイ・シー・コアーズ)」導入に携わる西岡修次郎は、そう話す。

最近の原価管理に関する課題認識

例えば、大規模企業のお客様からは、フルスクラッチで作成したシステムをパッケージベースでERPシステムとして再構築したい、というご要望が多くなっています。この場合、従来の自社向けの特注システム機能を汎用パッケージ製品で実現することが最大の課題です。

一方、中小規模企業のお客様であれば、未整備だった原価計算の仕組みを整備したい、というご要望が多くなっています。中小規模企業では、既存のシステムはExcelやAccessなどをベースとした簡易なものや、業態の合わない親会社の古いシステムを使用しているといったケースがまだまだ多いという背景があります。原価計算の仕組みを整備し、製品や設備の改廃など、昨今のビジネス環境の変化に対応することが課題となっています。

さらに、企業規模に関係なく、経営層からの「もっと緻密に原価を把握したい」「もっと早く結果が見たい」といった要請や、年々厳しくなる監査法人からの指摘や内部統制に応えるためのシステム構築といった共通の課題もあります。

プロセス製造業がERPシステムを導入する際の課題

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長 西岡 修次郎

大規模企業様から要望の多いERPシステムは、マスタやデータを一元管理し、リアルタイムに会計処理を行い収益状況を確認できるという利点があります。メジャーERPをグローバルスタンダードと考え「できるだけカスタマイズせずに導入することで業務効率化を目指す」といったことを大きなミッションとしているケースも多く見られます。

このように昨今導入契機が加速している感のあるERPシステムですが、プロセス製造業が導入するに際しては、こと原価計算部分について課題が多いと感じます。というのも、多くのERPはBOM(部品表)をベースとした組み立て製造業をベースに考えられているためです。

プロセス製造業にとって、特に生産管理、原価管理部分の導入は難しく、実際に生産管理部分はスクラッチで構築し、導入しやすい部分にERPを適用する事例が多くなっています。

原価管理部分について考えた場合、生産管理部分をスクラッチで構築しても、ERPのMRPモジュール、在庫管理モジュールを導入することで、原価計算モジュールを使用することはできます。その場合、ポイントとなるのはBOM(部品表)の設定です。

プロセス製造業では、装置や工程に素材を投入し、製品が製造されていきますが、BOM(部品表) は品名のみをキーとしたツリー構造で表現し、装置や工程での加工は、工程順序として表現していきます。この構造がプロセス製造業では必須の「部門別コスト管理」には適しません。また、半製品を原料に戻す循環や2級品の発生などを表現することも難しくなります。

このような部分を排除して計算した標準原価を使用した原価計算は、多くの原価差額が発生するとともに実際の製品原価が分からないものとなってしまいます。

マスタ設定の違い

とはいえ、製品の生産や動きに合わせてリアルタイムに動くERPの導入には十分なメリットがあります。しかし、プロセス製造業においては、原価改善を実施するために部門別の歩留や原単位の管理は非常に重要であり、原価計算領域に関しては、プロセス製造業専用のパッケージ製品を推奨します。

下図のように、標準原価を専用パッケージで計算し、それをERPに戻してリアルタイム計算に使用する。月次では月間実績データを専用パッケージに連携し、精緻な実際原価計算(ころがし計算)を行って実際原価を把握し、差異分析をする。このような構成を取った場合、原価計算部分は疎結合になるため、ERPに影響なくシミュレーション計算が実施しやすくなるというメリットがあります。また、子会社、グループ企業などシステム構成の違う事業にも本体と同じ管理方式を展開できると言った利点もあります。

マスタ設定の違い

プロセス系製造のDNAを持つパッケージで原価管理の課題を解決

組立系製造の生産管理システムを発展させた原価管理パッケージが多い中、「J-CCOREs」は、プロセス系の原価計算・原価管理の仕組みをもつ数少ない製品です。プロセス産業の原価管理は、原価部門ごとに評価・分析を行う必要があり、そのため計算キーとして「品目」だけでなく「部門」を持つなどデータ・マスター構造も組立系とは異なります。

私たちJFEシステムズは、長年、大規模プロセス産業であるJFEスチールの原価計算を担当してきました。「J-CCOREs」は、そのDNAを受け継いでいます。

プロセス系で求められるあらゆる原価計算に対応可能であり、予算の立案や、様々な切り口での予実管理を整合性を保って実現する仕組みを提供しています。企業規模に関わらず、プロセス系製造業のお客様に多く導入されているのは、言うまでもありません。また、各種ERPパッケージとの連携も豊富な実績があります。

PDCAの定着が目標

「J-CCOREs」の導入においては、販売計画や経費予算に基づき、利益計画の立案、標準原価の算出、月次原価計算の実行、実績の把握、原価差異の分析を行い、その結果を受けて改善を図る、といったお客様のビジネスのPDCAサイクルに適応させること、または、PDCAサイクルの導入や定着を基本的な目標としています。

利益計画は、来年度の製品販売量、製品生産量、必要な原材料の消費量、原材料購入単価、工場各部門の経費予算など、計算に必要な諸元を準備し、それらを元に製造原価を計算し、製品別収益を算出する流れになります。ポイントとして、カテゴリー別の販売計画を製品別に分解する方法、工程・製品別の歩留まりや加工時間の設定、製造ルートが社内・外注など複数ある場合のマスタ設定方法など、様々な課題が考えられます。

私たちはこのような課題に対し、多くの導入実績に基づく事例を提示しながら提案を行っています。計画を立てやすい粒度と、実績を把握しやすい粒度を上手く合わせ、差異分析まで無理なく回せる仕組みを作っていきます。

利益計画の仕組みが定着していない企業様にとって、必要な情報を収集し設定することは非常に敷居の高いものです。そのような場合、まずは、実績原価の計算を構築することを提案しています。そして、実績で確保した原単位、歩留まり情報をベースとして標準/基準の設定につなげていく、というアプローチを取ります。

「J-CCOREs」には製品の最新の実績原価構成を展開表示する機能があり、このようなツールを活用することで標準原単位、標準歩留まりを設定するなど具体的な提案を行っています。

「粒度」を見極めるには経験に裏打ちされたセンスが必要

先ほど、「原価計算の計算粒度」と申し上げましたが、お客様は原価管理となると、「細かな部分まですべて計算・分析したい」と言われることが多くあります。つまり、求めるデータの粒度が細かすぎるということです。

原価計算はいかに「中分類化」するかが肝です。データの粒度が粗ければ「どんぶり勘定」になってしまいますが、細かすぎるとマスタ設定が困難になります。せっかく導入してもうまく活用されなくなることもあります。私たちは、それが一番あってはならないことだと考えています。そのため、技術的に無理なく、また、お客様のPDCAサイクルにも合ったスペックをゴールにしています。

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長 西岡 修次郎

具体的には業種、業態により検討が必要となるため、例えが難しいですが、製造、販売する単位ではなく、同一素材、同一歩留設定となるものは同じ単位で原価計算する。また、組み立て型の場合は、製品を束ねることが難しいので、部門・工程を集約する方向で提案を行うケースが多いです。

どのくらいの粒度が原価管理・分析に適切かについては、経験に裏打ちされた「センス」が必要となります。

そのため、組織として原価管理に携わってきた歴史が長いというのは、私たちのアドバンテージです。新人のころから原価管理に携わり、その道一筋のコンサルタントも部内には数多く在籍しています。原価管理や「J-CCOREs」の仕組みはもちろん、お客様の業務を理解し、どのくらいの粒度の原価計算が最適かを割り出す、「センス」ある要員が揃っています。

長年の実績に基づくプロセス系を中心としたお客様の業務ノウハウは、社内にナレッジとして蓄積され、メンバーのスキルレベルの平準化にも寄与しています。課題の共有や他のプロジェクトメンバーにアイデアや意見を求めることも、JFEシステムズではとても日常的な光景です。

「複雑なシステムは間違っている」という信念。

私自身、原価管理に携わるようになって20年以上のキャリアがあります。その間に「J-CCOREs」を通じてJFEスチール社長賞を受賞、原価計算に関する特許も2件取得しました。原価計算のロジックに関しては、いろいろな計算に耐えられる汎用的なものを入れるようにしており「J-CCOREs」のコアにもなっています。

複雑なシステムは間違っている。これは私の信念です。

例えば、複雑なシステムは、当初は機能を満たしても、前提の追加・変更があるとすぐに無理が来て成り立たなくなる。シンプルなシステムは、お客様の運用しやすさにもつながります。共通項を探し、モデル化し汎用化する。そうした姿勢から環境変化に強いパッケージが生まれるのではないでしょうか。

私はアイデアの出しがいがある原価管理の領域に大きな魅力を感じています。課題に対して様々なアプローチが取れますし、ストックの中からアイデアを組み合わせて解を導く、その結果、お客様から「このデータを見たかったんだ」「価格交渉に早速使います」などと言われると、本当にうれしい気持ちになります。

原価管理コラム

原価管理の課題解決には、「センス」が必要

原価管理コラム

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長
西岡 修次郎

昨今の厳しい経済状況を反映し、企業の原価管理に、より厳密さが求められるようになった。例えば、取引先への値上げ交渉や協力会社に対する値下げ要求においても、その根拠として自社の製品原価をきちんと把握、管理せねばならない。

「さらに、お客様の規模によっても状況は異なります」。製造業向け原価管理ソリューションパッケージ「J-CCOREs(ジェイ・シー・コアーズ)」導入に携わる西岡修次郎は、そう話す。

最近の原価管理に関する課題認識

例えば、大規模企業のお客様からは、フルスクラッチで作成したシステムをパッケージベースでERPシステムとして再構築したい、というご要望が多くなっています。この場合、従来の自社向けの特注システム機能を汎用パッケージ製品で実現することが最大の課題です。

一方、中小規模企業のお客様であれば、未整備だった原価計算の仕組みを整備したい、というご要望が多くなっています。中小規模企業では、既存のシステムはExcelやAccessなどをベースとした簡易なものや、業態の合わない親会社の古いシステムを使用しているといったケースがまだまだ多いという背景があります。原価計算の仕組みを整備し、製品や設備の改廃など、昨今のビジネス環境の変化に対応することが課題となっています。

さらに、企業規模に関係なく、経営層からの「もっと緻密に原価を把握したい」「もっと早く結果が見たい」といった要請や、年々厳しくなる監査法人からの指摘や内部統制に応えるためのシステム構築といった共通の課題もあります。

プロセス製造業がERPシステムを導入する際の課題

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長 西岡 修次郎

大規模企業様から要望の多いERPシステムは、マスタやデータを一元管理し、リアルタイムに会計処理を行い収益状況を確認できるという利点があります。メジャーERPをグローバルスタンダードと考え「できるだけカスタマイズせずに導入することで業務効率化を目指す」といったことを大きなミッションとしているケースも多く見られます。

このように昨今導入契機が加速している感のあるERPシステムですが、プロセス製造業が導入するに際しては、こと原価計算部分について課題が多いと感じます。というのも、多くのERPはBOM(部品表)をベースとした組み立て製造業をベースに考えられているためです。

プロセス製造業にとって、特に生産管理、原価管理部分の導入は難しく、実際に生産管理部分はスクラッチで構築し、導入しやすい部分にERPを適用する事例が多くなっています。

原価管理部分について考えた場合、生産管理部分をスクラッチで構築しても、ERPのMRPモジュール、在庫管理モジュールを導入することで、原価計算モジュールを使用することはできます。その場合、ポイントとなるのはBOM(部品表)の設定です。

プロセス製造業では、装置や工程に素材を投入し、製品が製造されていきますが、BOM(部品表) は品名のみをキーとしたツリー構造で表現し、装置や工程での加工は、工程順序として表現していきます。この構造がプロセス製造業では必須の「部門別コスト管理」には適しません。また、半製品を原料に戻す循環や2級品の発生などを表現することも難しくなります。

このような部分を排除して計算した標準原価を使用した原価計算は、多くの原価差額が発生するとともに実際の製品原価が分からないものとなってしまいます。

マスタ設定の違い

とはいえ、製品の生産や動きに合わせてリアルタイムに動くERPの導入には十分なメリットがあります。しかし、プロセス製造業においては、原価改善を実施するために部門別の歩留や原単位の管理は非常に重要であり、原価計算領域に関しては、プロセス製造業専用のパッケージ製品を推奨します。

下図のように、標準原価を専用パッケージで計算し、それをERPに戻してリアルタイム計算に使用する。月次では月間実績データを専用パッケージに連携し、精緻な実際原価計算(ころがし計算)を行って実際原価を把握し、差異分析をする。このような構成を取った場合、原価計算部分は疎結合になるため、ERPに影響なくシミュレーション計算が実施しやすくなるというメリットがあります。また、子会社、グループ企業などシステム構成の違う事業にも本体と同じ管理方式を展開できると言った利点もあります。

マスタ設定の違い

プロセス系製造のDNAを持つパッケージで原価管理の課題を解決

組立系製造の生産管理システムを発展させた原価管理パッケージが多い中、「J-CCOREs」は、プロセス系の原価計算・原価管理の仕組みをもつ数少ない製品です。プロセス産業の原価管理は、原価部門ごとに評価・分析を行う必要があり、そのため計算キーとして「品目」だけでなく「部門」を持つなどデータ・マスター構造も組立系とは異なります。

私たちJFEシステムズは、長年、大規模プロセス産業であるJFEスチールの原価計算を担当してきました。「J-CCOREs」は、そのDNAを受け継いでいます。

プロセス系で求められるあらゆる原価計算に対応可能であり、予算の立案や、様々な切り口での予実管理を整合性を保って実現する仕組みを提供しています。企業規模に関わらず、プロセス系製造業のお客様に多く導入されているのは、言うまでもありません。また、各種ERPパッケージとの連携も豊富な実績があります。

PDCAの定着が目標

「J-CCOREs」の導入においては、販売計画や経費予算に基づき、利益計画の立案、標準原価の算出、月次原価計算の実行、実績の把握、原価差異の分析を行い、その結果を受けて改善を図る、といったお客様のビジネスのPDCAサイクルに適応させること、または、PDCAサイクルの導入や定着を基本的な目標としています。

利益計画は、来年度の製品販売量、製品生産量、必要な原材料の消費量、原材料購入単価、工場各部門の経費予算など、計算に必要な諸元を準備し、それらを元に製造原価を計算し、製品別収益を算出する流れになります。ポイントとして、カテゴリー別の販売計画を製品別に分解する方法、工程・製品別の歩留まりや加工時間の設定、製造ルートが社内・外注など複数ある場合のマスタ設定方法など、様々な課題が考えられます。

私たちはこのような課題に対し、多くの導入実績に基づく事例を提示しながら提案を行っています。計画を立てやすい粒度と、実績を把握しやすい粒度を上手く合わせ、差異分析まで無理なく回せる仕組みを作っていきます。

利益計画の仕組みが定着していない企業様にとって、必要な情報を収集し設定することは非常に敷居の高いものです。そのような場合、まずは、実績原価の計算を構築することを提案しています。そして、実績で確保した原単位、歩留まり情報をベースとして標準/基準の設定につなげていく、というアプローチを取ります。

「J-CCOREs」には製品の最新の実績原価構成を展開表示する機能があり、このようなツールを活用することで標準原単位、標準歩留まりを設定するなど具体的な提案を行っています。

「粒度」を見極めるには経験に裏打ちされたセンスが必要

ソリューション事業部 開発部 原価管理グループ長 西岡 修次郎

先ほど、「原価計算の計算粒度」と申し上げましたが、お客様は原価管理となると、「細かな部分まですべて計算・分析したい」と言われることが多くあります。つまり、求めるデータの粒度が細かすぎるということです。

原価計算はいかに「中分類化」するかが肝です。データの粒度が粗ければ「どんぶり勘定」になってしまいますが、細かすぎるとマスタ設定が困難になります。せっかく導入してもうまく活用されなくなることもあります。私たちは、それが一番あってはならないことだと考えています。そのため、技術的に無理なく、また、お客様のPDCAサイクルにも合ったスペックをゴールにしています。

具体的には業種、業態により検討が必要となるため、例えが難しいですが、製造、販売する単位ではなく、同一素材、同一歩留設定となるものは同じ単位で原価計算する。また、組み立て型の場合は、製品を束ねることが難しいので、部門・工程を集約する方向で提案を行うケースが多いです。

どのくらいの粒度が原価管理・分析に適切かについては、経験に裏打ちされた「センス」が必要となります。

そのため、組織として原価管理に携わってきた歴史が長いというのは、私たちのアドバンテージです。新人のころから原価管理に携わり、その道一筋のコンサルタントも部内には数多く在籍しています。原価管理や「J-CCOREs」の仕組みはもちろん、お客様の業務を理解し、どのくらいの粒度の原価計算が最適かを割り出す、「センス」ある要員が揃っています。

長年の実績に基づくプロセス系を中心としたお客様の業務ノウハウは、社内にナレッジとして蓄積され、メンバーのスキルレベルの平準化にも寄与しています。課題の共有や他のプロジェクトメンバーにアイデアや意見を求めることも、JFEシステムズではとても日常的な光景です。

「複雑なシステムは間違っている」という信念。

私自身、原価管理に携わるようになって20年以上のキャリアがあります。その間に「J-CCOREs」を通じてJFEスチール社長賞を受賞、原価計算に関する特許も2件取得しました。原価計算のロジックに関しては、いろいろな計算に耐えられる汎用的なものを入れるようにしており「J-CCOREs」のコアにもなっています。

複雑なシステムは間違っている。これは私の信念です。

例えば、複雑なシステムは、当初は機能を満たしても、前提の追加・変更があるとすぐに無理が来て成り立たなくなる。シンプルなシステムは、お客様の運用しやすさにもつながります。共通項を探し、モデル化し汎用化する。そうした姿勢から環境変化に強いパッケージが生まれるのではないでしょうか。

私はアイデアの出しがいがある原価管理の領域に大きな魅力を感じています。課題に対して様々なアプローチが取れますし、ストックの中からアイデアを組み合わせて解を導く、その結果、お客様から「このデータを見たかったんだ」「価格交渉に早速使います」などと言われると、本当にうれしい気持ちになります。